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【高橋洋一 日本の解き方】日銀の10年前のETF購入 国民負担を懸念するのなら国債を大量購入すべきだった (2/2ページ)

 もっとも、正確にいえば、ETFの損失も日銀当座預金の付利も、通貨発行益の範囲内の処理であり、国庫に納付すべき納付金が減少するだけだ。

 日銀のオペ対象として、ETFは不適切という議論もあるが、それでも金融緩和の手段として「買うならケチャップでもいい」との表現を借りれば、まだマシとも考えられる。国債購入によるもっと大規模な金融緩和をすべきであったのはいうまでもないが。

 さらに、国民負担をいうなら、リーマン・ショック後の金融政策の失敗により円高になったほうがひどい。他国が金融緩和する中で日本だけが金融緩和しなかったので、円は相対的に希少となり、理論通りに猛烈な円高が進行したのだ。このため、日本経済はリーマン・ショックの震源地でもなかったが、先進国中最悪の経済ショックを被った。

 議事録を読んだ筆者の感想としては、白川氏は、国債購入を避けてアリバイ作りのためにETF購入を持ち出したとの疑いが晴れない。国債の大量購入に躊躇(ちゅうちょ)しなければ、ETF購入という中央銀行としては筋悪の政策を避けることができたのではないか。

 マクロ政策としての金融政策は中央銀行だけしかできない。他国の中央銀行ができたのに、日銀はそれをやらずに枝葉の議論しかしてこなかったことに、いまさらながら驚くばかりだ。 (内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

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