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【大前研一 大前研一のニュース時評】70歳就業法「定年のない時代」を楽しむために 30代、40代のうちから腕を磨き、いつまでも働けるスキルを (1/2ページ)

 今年4月、改正高年齢者雇用安定法(通称「70歳就業法」)が施行され、希望する社員が70歳まで働けるようにする努力義務が企業に課せられる。

 高齢者雇用について、現行法では企業は「定年制の廃止」「65歳までの定年引き上げ」「65歳まで契約社員などで再雇用する継続雇用制度」の3つのうち、いずれかを講じることが義務づけられている。今回の改正はそれをさらに70歳までに引き上げる。

 ただし、会社側にも配慮して、「個人事業主などとして業務委託契約を結ぶ」「他企業への再就職支援」などコストを抑えられる選択肢も加わっている。

 日本の高齢者の就業率は、70歳以上で約20%、65~69歳は50%近くに及んでいる。昔は55歳定年だった。それが60歳、65歳となった。ここから先もさらに仕事ができるようにするわけだ。

 国が「生涯現役」にこだわるのは、少子高齢化による人手不足と社会保障費の増加が深刻になっているからだ。

 政府の思惑は、年金の支出が減ること。年金の支給開始年齢の原則は65歳だが、22年4月から60~75歳(現行は70歳)まで選択できるようにしている。また、いつまでも働いてくれれば、税金も払ってくれる。

 ということで、これはある意味、政府の仕掛けにハマるということでもある。そういう思惑が極めて露骨に現れたのが、この70歳就業法だ。しかし、そんなことを嘆いていても仕方ない。

 おそらく、70歳までの継続雇用制度の導入をする企業が多いだろう。この場合、契約社員として再雇用されると大幅に賃金が減らされる。一方、個人事業主として契約すると、会社員ではいられなくなる。ある意味、「世界で初めて定年のない国になる」ということだ。

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