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【国防最前線】尖閣危機!海保の能力強化が急務 中国海警法の「罠」に警戒 自衛隊出動、日本側から事態をエスカレートさせる懸念 (2/2ページ)

 一方、日本政府は、米国との間では日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用をくり返し確認している。これが不必要とは言わないが、米国は尖閣が日本の施政下にあることは認めているものの、日本の領有権を認めたわけではない。その点を、中国も当然承知である。抑止効果を発揮しているのは確認作業より、米軍と自衛隊による共同訓練や連携の強化だろう。

 今、日本国内から海上自衛隊に有事に至らない時から海保と同様の権限を持たせるべきとの声が出てきている。しかし、「軍艦」を派出することの意味はとても重い。いくら、「海上警備行動」であり、警察権の行使しかできないと言っても、相手は信じない。そんなことが通用するのは日本しかない。

 自衛隊の出動は、事態を「こちら側から」エスカレートさせてしまう。中国海警局は事実上の「第2海軍」ではあれ、見かけ上は海上法執行機関であり、ここが「罠」なのだ。

 長年の間、「非軍事組織」として厳格に養成されてきた現在の海保関係者には、能力強化に抵抗があるかもしれない。だが、このままでは海保に犠牲者が出る。海自OBなどを活用し、「準軍事組織」たる「海の守りの統一機関」が今こそ誕生するときだ。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 防衛問題研究家。1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に『日本に自衛隊がいてよかった』(産経新聞出版)、『自衛官の心意気』(PHP研究所)、監修に『自衛官が語る海外活動の記録』(並木書房)など。

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