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【日本の元気 山根一眞】梅の木が進化? 庭先の生態系に感動 (1/2ページ)

 10年前のちょうど今頃(2011年2月)のことを思い出している。自宅庭の白梅の老木に一斉に花がつき始め、春の訪れを感じさせてくれていたが、この白梅に野鳥が飛来していることに気付いたのだ。

 東京23区内(杉並区)の住宅地だが、多くの野鳥や珍しい蝶を見ることもある。自宅のナツミカンの樹にはキアゲハやカラスアゲハが産卵するので、卵がついた葉を飼育箱に入れて育て、羽化・放蝶するのは毎年のこと。多い年には放蝶は数十頭になる。幼虫が野鳥や寄生蝿、寄生蜂にやられないよう育て放蝶することで、受粉の機会を増やすのが目的だ。

 一方、私は野鳥の知識は乏しいが、梅の木に野鳥が来ていたためミカンの輪切りを吊るしてみたところ、あっという間にメジロが飛来して啄(つい)ばみ始めた。そのメジロが何かに驚いたかのように飛び去るなり、ミカンを狙って交代したのはヒヨドリだった。

 こうして毎日、メジロとヒヨドリの姿をわずか3メートル離れたリビングルームで眺めるのは、何とも心和む時間だった。だがその直後、和んだ心がズタズタにされる出来事に見舞われた。11年3月11日の東日本大震災だ。

 被災現場取材は約50回におよび、三陸漁村(宮城県石巻市大指=おおざし)の支援活動に明け暮れる長い日々が始まった。梅に飛来する野鳥のことなどすっかり忘れていたが、ようやく今年、梅の木に白い花がつき始めるなり、心和ませてくれた野鳥たちが来ていることに気付いた。10年前と同じように。

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