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【勝負師たちの系譜】ぶっちぎりで名人戦の挑戦権を得た斎藤慎太郎八段 A級順位戦最終一斉対局 (2/2ページ)

 過去、将棋会館の最終局の時には、負けて欲しい人の勝負を一日中見に行っていた棋士もいたが、今日、そういう人はいない。もっともここでは個室の対局室なので、そんなことはできない。

 結局5局のうち一番早く終わったのが豊島-広瀬戦で、豊島勝ちの瞬間、斎藤の挑戦が決まったのだが、斎藤は負けたらプレーオフの覚悟で指し続けている。

 そして序盤から自分のペースをずっと守って勝ち切り、8勝1敗で名人戦の挑戦を決めた。

 以前は私もそうだが、新A級は順位も下で、常に降級候補だった。今期はもう一人の菅井竜也八段も5勝4敗で終え、来期の順位を5位とした。

 今までの名人戦を見ると、ぶっちぎりで挑戦を決めないと、名人は奪えないということがある。プレーオフを何局も勝ち、やっと挑戦では、まず名人戦で勝てないのだ。

 その点今回の斎藤は、大いに期待してよいかと思う。4月からの渡辺明名人との七番勝負は楽しみである。

 ■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

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