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【勝負師たちの系譜】渡辺明三冠のダブル防衛 他棋士の大きな壁として屹立 (1/2ページ)

 年明けから王将戦、棋王戦と並行して進んでいた、渡辺明三冠にとってのダブルタイトル戦は、どちらも防衛で終了した。

 前々回の本欄に、棋王戦第3局で挑戦者の糸谷哲郎八段の粘りを振り切って勝った瞬間、渡辺はこれで嫌な流れを断ち切ったと指摘したが、まさにその通りとなったのである。

 まず王将戦では、挑戦者の永瀬拓矢王座に3連勝から2連敗と追い上げられていて、内容も完全に相手のペースにハマっていただけに、これはひょっとすると大逆転もあるかもと見られていた。

 かつて渡辺は竜王戦で羽生善治九段相手に、3連敗から4連勝という棋界初の奇跡的な逆転劇を演じたことがある。この時の最終局は、勝った方が永世竜王になる大一番だった。

 今回の追い上げには、怪しい雰囲気も漂っていたのだが、棋王戦での勝利が転機となったと思う。

 第6局は後手番の渡辺が、永瀬の得意とする角交換早繰銀からの速攻に対し、交換した銀を自陣に投入する堅い守りで対抗。永瀬は千日手で指し直しにするのが精いっぱいだった。

 指し直し局はやはり角交換から、先手の渡辺は序盤早々に桂を五段目に跳ね出して先制攻撃をし、相手の体勢を崩してペースを握った。そして駒得をしながら手厚く指し進め、永瀬に粘りを許さず、王者の勝ち方でシリーズを防衛した。

 すぐに棋王戦の方も、第4局が行われたが、糸谷は持ち前の怪力をすっかり封じられた形で敗れ、渡辺の防衛を許したのだった。

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