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【日本の元気 山根一眞】湖底堆積層「年縞」展示 福井の「人の力」に感謝 (2/2ページ)

 すがすがしい自然が広がる立地とはいえ、若狭町の人口は約1万4000人(20年推計)、人口密度は東京23区の190分の1にすぎない土地だ。しかも年縞は難解な先端科学の分野。来館してくれる人はいるのか、不安は大きかった。

 そこで年縞博物館では、数人の専門知識をもつナビゲーターが来館者にていねいな解説をする無料サービス(事前予約)を用意した。中川さんら年縞専門家が解説役を務めることも時折あるが、説明を聞き終えたあと拍手が出たり涙をにじませる来館者もしばしばいる。

 「難解な年縞科学をキマジメに、じっくりわかりやすく伝える」という挑戦に私たちは大きな手応えを感じていたが、それが公にも認められた。数日前、日本博物館協会から通知が届いた。20年度の「日本博物館協会賞」に日本の博物館5738館(18年、文化庁)の中から年縞博物館が選ばれたというのだ。

 水月湖年縞の発見後、その広報に尽力してきたのは隣接する若狭町立若狭縄文博物館だった。年縞博物館開館後も、そのお隣さんとのコラボ企画を多々行っている。年縞博物館は小さな博物館だが、特別館長である私の貢献など取るに足らない。受賞は年縞科学者、館員、学芸員、そして福井県の多くの方々など年縞に情熱を傾けてきた「人の力」によるもので、皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいだ。

 ■山根一眞(やまね・かずま) ノンフィクション作家、福井県年縞博物館特別館長。愛地球博愛知県総合プロデューサーなど多くの博覧祭も手がけてきた。近刊は『理化学研究所 100年目の巨大研究機関』『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』。「山根一眞の科学者を訪ねて三千里」(講談社)を連載中。理化学研究所名誉相談役、JAXA客員、福井県交流文化顧問、獨協大学非常勤講師、日本文藝家協会会員。

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