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【高橋洋一 日本の解き方】中国が狙う「一帯一路」の罠 参加国から富を吸い上げ…自国の経済停滞を脱却する魂胆も (1/2ページ)

 中国の習近平政権による経済圏構想「一帯一路」については、参加した途上国の債務が問題になっているほか、米国が対抗する方針を打ち出している

 中国経済は行き詰まりつつある。その根拠は1人当たり国内総生産(GDP)が1万ドルを超えないという「中所得国の罠」だ。この壁を越えるためには、一部の産油国などを例外とすれば、一定の民主主義が必要だ。英エコノミスト誌の公表している民主主義指数でいえば、少なくとも香港と同程度の「6」以上を要するが、しかし、中国の民主主義指数は「2・3」程度しかない。

 中国が、非民主的な専制国家でありながら、1人当たりGDPが1万ドルを長期にわたって突破するのは、これまでの社会科学の理論からみると難しい。そこで、短期的には台湾侵攻など政治的な不満のはけ口を求める懸念もある。

 一方、産油国が中所得国の罠の例外になっているのは国内に莫大(ばくだい)な石油資源があるからだ。これと似たような環境としては、海外に中国依存の経済圏を作ることが考えられる。軍事的な侵攻ではなく、経済的に領土を拡大し、その富を中国に吸い上げるというものだ。もちろん中国が軍事的に優位な地域が条件となる。

 筆者は中国の一帯一路は、こうした戦略に基づいていると考えている。その結果、中国は世界の覇権を狙っているともいえる。

 しかし、一帯一路は、同様に中所得国の罠に陥ったアジアや中東、アフリカの途上国を相手にせざるを得ないが、それらの国を借金漬けにしたあげく、闇金まがいの取り立ても辞さない。こうした形で覇権をうかがう中国に対抗するため、バイデン米政権はジョンソン英首相との会談で経済圏構想を提案した。

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