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【大前研一 大前研一のニュース時評】欧州・モンテネグロで見えた中国「一帯一路」の恐怖 多額融資の返済に行き詰まれば、土地を乗っ取られる (1/2ページ)

 欧州南東部のバルカン半島に位置するモンテネグロが、中国から受けた10億ドル(約1100億円)の融資の返済ができず、欧州連合(EU)に肩代わりを要請した。

 東欧の国々と加盟交渉を進めているEUと、欧州で影響力を強めたい中国の対立の火種になりかねないと報じられている。

 モンテネグロは旧ユーゴスラビアの人口62万人の小国。2006年にセルビアから独立した。黒い山(モンテネグロ)と呼ばれるだけあって森林や湖水地帯に恵まれた美しい国だ。スキー場にはロシアの企業も投資していて、ロシアからスキー客も数多くやってくる。

 南部のアドリア海に面する港湾都市バールから隣国セルビアの首都ベオグラードを結ぶ全長165キロの高速道路建設のため、モンテネグロは14年に中国輸出入銀行から融資を受ける契約に署名した。その返済期日が7月に迫っている。

 融資合意書には土地を担保することが記載され、違約があった場合、中国が現地の土地を使用する権利を持つことになっている。つまり、返済できなかった場合、中国に土地を取られてしまうということ。中国の習近平主席が提唱した巨大経済圏構想「一帯一路」の怖い面が顔を出したわけだ。

 大体、この美しい地域に高速道路が必要なのかどうか、私にはクエスチョンマークだ。バールからベオグラードまではすでに鉄道があるし、この高速道路計画は採算が見込めないとして欧州の銀行は融資を拒否したもの。現在、道路は完成しておらず、料金も徴収できないので返済の見通しが立っていない。

 EUに「肩代わりしてくれ」と泣きついたモンテネグロに対しては、「自業自得だ」と言いたくなるところだが、やはり中国はしたたかに一帯一路の手を伸ばしてくる。モンテネグロ以外にも、中国からの多額融資の返済に行き詰まった国が世界に何カ国かある。モルディブやスリランカでも、リアルな問題となっている。

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