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【大前研一 大前研一のニュース時評】欧州・モンテネグロで見えた中国「一帯一路」の恐怖 多額融資の返済に行き詰まれば、土地を乗っ取られる (2/2ページ)

 その一方で、一帯一路の恩恵で、ギリシャ最大のピレウス港は非常に繁栄している。ギリシャ側も「結果は良好です」と喜んでいる。今のところ、マイナス面はない。一概に「一帯一路、ノー」とは言えない。ま、実質的には中国に乗っ取られてしまっているようなものだが。

 中国はギリシャを起点に西バルカン諸国を経由して中東欧や西欧につながる一大物流構想(バルカン・シルクロード構想)を描いていて、これもバルカン諸国への接近につながっている。

 影響力を世界に広めている中国に対し、日本としても無関心ではいられない。スエズ運河を抜け出たところでの近い良港として、バールはピレウス港にも匹敵する。ここを拠点にバルカン・東欧諸国へのアクセス網を確立できれば、日本がモンテネグロの借金を肩代わりすることもやぶさかではない。「Go to トラベル」に3兆円も取っている、というなら1000億円はわずかなものだ。最近日本人が一番好きなクロアチアのドゥブロブニクやコトルにも近いし、コロナ後に観光が再開されれば、南バルカンはまだまだ魅力のある見どころの宝庫だ。

 日本はかつてインドネシアの首都ジャカルタと西ジャワ州バンドンの約140キロを結ぶ高速鉄道事業をめぐって中国と激しく争ったことがある。そのとき、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は恥ずべき行為をした。

 日本が行った地質調査や測量、実勢設計などの資料をそのまま中国側に渡し、それを利用して中国は「工事期間は2年で大丈夫」などと提案して請け負うことになった。この事業も完成予定が複数回延期されており、インドネシア側は日本の協力で事業を推進させたい意向があるという。謝るのが先だと思うのだが。

 モンテネグロを助ける場合も、こういうことが起こらないよう注意すべきだろう。

 ■ビジネス・ブレークスルー(BBTch)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

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