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【日本の元気 山根一眞】アンドレ・リュウの音楽に教わる高齢者の生きる喜び (2/2ページ)

 なによりも驚いたのが、数千人という聴衆の年齢層だ。明らかに50-60代以上が圧倒的なのだ。このライブは、その高齢世代に生きる喜びを間違いなく与えてくれている。「死に待ち」をあおるばかりの日本の高齢者向け情報とは天と地ほど違う世界だ。

 アンドレ・リュウのチャンネルは300万人以上が登録。演奏シーンが400本以上あり、6000万回以上視聴されたものもある。すべてを視聴するのには何週間もかかるだろう。ここまで徹底した無料公開は例がないが、コンサートやDVDの販促のためなのだ。

 私もついマーストリヒト市公演(2005年)のブルーレイDVD(輸入版)を買ってしまったが、細切れクリップでは味わえない感動に夜眠れなくなった。このビジネス感覚も見習いたい。

 欧州人が好きな歌「ザ・ローズ(薔薇)」の歌詞にこんな一節がある。「心に死への恐れがあれば、生きることの大事さも学べない」(山根の意訳)。「死に待ち」をあおるのは「死への恐れ」をあおっているに等しい。アンドレ・リュウのように、高齢者向けに「こんな生きる喜びがある」と熱くあおるアクションの必要性を切実に感じています。

 ■山根一眞(やまね・かずま) ノンフィクション作家、福井県年縞博物館特別館長。北九州博覧祭北九州市パビリオン、愛地球博愛知県総合プロデューサーなど多くの博覧祭、万博を手がけてきた。近刊は『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』。「山根一眞の科学者を訪ねて三千里」(講談社)などを連載中。理化学研究所名誉相談役、JAXA客員、福井県文化顧問、獨協大学環境共生研究所客員研究員、日本文藝家協会会員。

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