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複製や改ざん不可能、唯一無二のデジタル遺産「NFT」作品に熱視線 美術界で高額取引、企業やクリエーターも参入 (1/2ページ)

 美術業界でデジタルアートが高額で取引される例が目立っている。複製や改ざんが不可能な新たなデジタル資産「非代替性トークン(NFT)」の登場が背景に。デジタル資産を「所有」することが可能になると脚光を浴び、企業やクリエーターの取引参入も相次ぐ。

 「約6930万ドル(約75億円)」。3月、英競売大手クリスティーズが競売に掛けたデジタルアートの落札額は世界に衝撃を与えた。100ドルから始まった競売は投機目的とみられる入札者を巻き込み高騰。存命中の作家の作品としては3番目、デジタル作品としては史上最高額となった。

 作家は米国出身の「ビープル」ことマイク・ウィンケルマンさん。「エブリデーズ 最初の5000日」と題した作品は、グラフィックデザイナーとして働く傍ら、13年半にわたり毎日作成したデジタルアートをコラージュした。落札したシンガポール拠点の男性起業家は「芸術の認識を変える重要な作品だ。歴史の一部となれてうれしい」と興奮を隠さない。

 高額取引の裏には「NFT」という技術革新がある。これまでのさまざまなデジタルアートは複製や改ざんが容易なため、資産として価値を保ちづらかった。

 一方、NFTは暗号資産(仮想通貨)の基盤技術として知られるブロックチェーンを活用することで、データの複製や改ざんを不可能にし、唯一無二のものとすることができる。いわば「鑑定書付きの本物」として取引することが可能となる。

 NFTが活用できる分野は美術品にとどまらない。音楽やゲームのアイテムなど、さまざまなデジタル資産で利用が始まっている。3月には、米短文投稿サイト「ツイッター」のドーシー最高経営責任者(CEO)の初ツイートの所有権が競売に掛けられ、約3億2000万円で落札された。

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