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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】人間が掘り当てた噴火 通常の技術では検出できない「マグマポケット」 (1/2ページ)

 宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』は人工的に火山の噴火を起こすフィクションだ。地域を暖めて冷害を救うために噴火が使われる。

 人間の手で噴火を起こすことは実際には不可能だと考えられていたが、アイスランドでマグマ(溶けた溶岩)に穴をあけて実際に噴火を起こしてしまったことがある。

 アイスランド北東部のクラフラ。火山地帯で地熱を利用するためのボーリングを行っていたときに、知られていなかった地下のマグマだまりを偶然掘り当てたものだ。

 この掘削は、地下4キロメートルのところにあるはずのマグマだまりの境界のすぐ上を狙っていた。そこでは地熱をいちばん期待できるからだ。ドリルが1・6キロメートルほど掘り進んだときにマグマだまりを掘り当ててしまった。このマグマだまりは火山学では「マグマポケット」と言われるもので、1立方キロメートル以下と小さい。

 この噴火は幸い大きなものではなかった。被害も出なかった。しかし他では、マグマポケットがたとえ小さくても、より爆発的な噴火を引き起こす可能性はある。

 アイスランドでも、また他の地域でも地下の掘削の前に地震波を使っての調査が行われている。しかし、地震波を使っての調査は完全ではない。小さなものは見えない。また、液体のマグマの中はS波(よじれ波)が通らないことからマグマの存在が分かるのだが、マグマだまりが冷えていれば液体部分よりも結晶の方が多くなってS波を通してしまうのでマグマだまりが見えないのだ。つまり、マグマポケットは通常の技術では検出できないマグマだまりなのである。

 日本にもまだ発見されていないマグマポケットがいくつもあるはずだ。米国・ハワイのキラウエア火山やケニアのメネンガイ火山でもマグマポケットが見つかっている。

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