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【軍事のツボ】英空母クイーン・エリザベスと「コスト強要戦略」 (1/5ページ)

 空母クイーン・エリザベスを中心とする英海軍の空母打撃群が5月22日、英国を出港した。12月に帰港するまでインド太平洋地域に派遣され、日本や米国、オーストラリア、インドなどと訓練などを繰り返す。派遣は英国の今後の世界戦略に沿ったもので、同地域への関与強化の一環だ。強引さを増す中国の海洋進出に対抗するプレーヤーが増えることは中国に大きな負荷をかけることになり、日米が進めようとしている対中国戦略「コスト強要戦略」の重要な構成要素になる。

 英国が空母打撃群を派遣するのは、海洋国家への回帰の一環。その長期戦略を一つの形にしたのが今年3月に公表した「Global Britain in a competitive age」(グローバル・ブリテン)。EU離脱後の安全保障、防衛、技術開発及び外交に係る今後の方針をまとめたもので、インド太平洋地域への関与強化もうたわれている。

 日本や米国などの海洋国家が最も重視するのは「海は常に自由で開かれている」こと。海を自由に使い世界中にアクセスできることが発展の大前提となるからだ。だから世界の海洋は「グローバル・コモンズ=世界公共財」だとする。

 これに挑戦しているのが中国。新たなパワーの出現は旧来のパワーとの摩擦を生み、軍事的な衝突の可能性が指摘されるほどになった。ただ、現実には経済の問題から当面は戦端が開かれる可能性は低いのではないか。その場合、平時の“つばぜり合い”が中心になり、カギを握るのが「コスト強要戦略」になると考えられる。英空母打撃群の派遣も同戦略の一要素といえる。