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【軍事のツボ】英空母クイーン・エリザベスと「コスト強要戦略」 (5/5ページ)

 すなわち、力による現状変更が割に合わないという判断を引き出すために、非軍事面でのコスト強要を同時に追求する必要がある。中国の弱点はウイグル、香港、チベットなどの問題、共産党支配体制下で国民の自由が制限されていることで、経済が傾くと不満は一気に吹き出す可能性がある。経済面での相対的弱体化と、国民が自由な体制の良さに目覚めるような施策を取る。これにより中国共産党は支配体制の維持に多大なコスト(金銭と労力)を割かざるを得なくなる。例を挙げれば、大量の観光客来日は有効だろう。中国国民が自由な国の良さに気づくきっかけになる。

 加えて中国の国際法無視の実態を国際社会にさらす情報戦や外交戦、経済面の中国依存脱却などの経済戦も組み込む。中国はあらゆる手段で戦うとする「超限戦」を21世紀の戦い(ドクトリン)と事実上している。平時の戦いであるコスト強要戦略は、超限戦の要素そのもので成り立っている。

 中国との間では、お互いに負荷をかけあう状況が長期にわたり続くだろう。どちらが先に音を上げるか“我慢比べ”だ。 (サンケイスポーツ・梶川浩伸)