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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】人体の影響探るべく「クマムシ」5000匹が宇宙旅行 10年間の無代謝状態から復活も (2/2ページ)

 極端な乾燥で脱水状態にされても「乾眠」という無代謝の休眠状態になって、体重の85%ある水分を3%以下までに減らす。しかし水を与えると息を吹き返す。クマムシは10年間の無代謝状態からも復活できる。

 クマムシが送られる理由は変化があったクマムシの遺伝子を特定するためだ。宇宙空間での人体の旅行を遺伝子レベルで助けようというわけだ。

 いままでもクマムシは宇宙に送られた実績がある。2007年にロシアの衛星「フォトンM3」に乗せられた2匹のクマムシは10日後に無事に地球に帰還した。宇宙の真空と放射線に耐えて、生殖能力も失わなかった。

 また2019年に月面着陸に挑んだイスラエルの「べレシート(創世記)」にも乗せられていた。

 べレシートは着陸には失敗したが、クマムシは、バラバラになった着陸船から生き残ったのではないかという推測がある。クマムシなら拳銃の弾より速いスピードでも耐えるから、着陸船が墜落しても生き残っている可能性がある。月には生き延びたクマムシが住みついているかもしれないのだ。

 なお、生物を月に送り込んでも国際法には違反しない。イスラエルはこれを狙った。

 火星は衛生や殺菌について厳格な規則が定められている。火星に生物を送り込むのは簡単ではない。

 これは最近の南極と同じだ。近年、南極に土を持ち込めなくなった。次の年に補給が来るまで新鮮な食材がない南極では、気安く土を持ち込んで越冬隊員が喜ぶ野菜栽培をしていたのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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