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【昭和のことば】3分間、カレーを待つ大五郎 「じっと我慢の子であった」(昭和48年)

 「じっと我慢の子であった」。これはボンカレー(大塚食品)のテレビCM内のナレーションだ。テレビドラマで大人気となっていた『子連れ狼』(小池一夫原作)を元ネタにして、拝一刀にふんした笑福亭仁鶴師匠が、大五郎役の男の子に「3分間待つのだぞ」と言いながら、ボンカレーを与える。3分(じっと)待って、大五郎はカレーにありつく。

 もとのドラマは大五郎を載せた手押し車をガラガラと押す、ニヒルで哀愁たっぷりのスタイルがウケ、このCMのほかにも多くのパロディーが生まれ、「子連れ◯◯」などの言い方がはやった。

 この年の主な事件は、「70歳以上の老人医療無料化実施」「浅間山大爆発」「国民の祝日法改正公布」「東京都江東区、杉並区からのゴミを実力阻止(ゴミ戦争)」「日航機、アムステルダム上空でアラブゲリラにハイジャック」「来日中の韓国新民党元大統領候補・金大中、東京のホテルから白昼強制連行(金大中事件)」「国電にシルバーシート登場」「江崎玲於奈、ノーベル物理学賞受賞決定」「関西で、スーパーのトイレットペーパー買い占め騒ぎが発生」「政府、石油緊急対策要綱決定。ガソリンスタンドの日曜・祝日休業を実施」など。

 この年の映画は『仁義なき戦い』『ジョニーは戦場へ行った』。本は、山崎豊子『華麗なる一族』、五島勉『ノストラダムスの大予言』など。プロ野球巨人がV9を達成。

 この頃の「じっと我慢」は、高度経済成長の合間に生まれたしゃれっ気たっぷりのことばだった。約半世紀後、待てど暮らせど明けないコロナ禍で、まさにわれわれはこのことばを存分にかみしめた。 =敬称略 (中丸謙一朗)

 〈昭和48(1973)年の流行歌〉 「神田川」(南こうせつとかぐや姫)「なみだの操」(殿さまキングス)「あなた」(小坂明子)

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