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【大前研一 大前研一のニュース時評】ウイグル人権問題に反論 「お前たちだってやったくせに…」欧米の対処姿勢に従うはずがない中国 (2/2ページ)

 下院でも類似した措置を盛り込んだ対中法案を審議中。成立すれば、ウイグル産製品を米国に輸出する日本企業も含め、幅広い国・地域に影響が及ぶ。欧州の「参加しないかも」という脅しより、こちらの方が大きな圧力になるだろう。

 この件では、中国の漢民族がイスラム系ウイグル人に綿花栽培の作業を強制労働させていることも問題視されている。中国は次のように米国に反論するのではないか。

 --お前たちだってアフリカから黒人の奴隷を連れてきて、南部で綿花栽培の労働で酷使していただろ。ストウ夫人の「アンクル・トムの小屋」を読んでみろ。自分たちの歴史を忘れたのか…。今や先進国をしのぐ経済・技術大国となった中国であるが環境問題などに関しても都合のいいときには途上国だから、という言い訳をする。

 もちろん、欧米諸国が過去にやっていたとしても、いけないものを「いけない」と言うことは正しい。正しいのだが、中国にしてみれば、「この野郎、お前だってやってたくせに」とホッペタの1つもたたきたいところだろう。

 米国は記憶が薄いところがある。そういう点では、日本が捕鯨の問題で責められることも似ている。クジラの数が少なくなったのは、日本が獲り過ぎたのではなく、米国が19世紀に獲り過ぎたためだ。

 もともと世界最大の捕鯨民族は米国だった。メルヴィルの「白鯨」を読んでみればわかる。世界中に出かけていた。1853年に米国東インド艦隊司令官長ペリーが来航して、翌年に日米和親条約が締結されることになったのも、捕鯨船の寄港地が必要だったからだ。そのおかげで日本は開国に至ったわけだが。ジョン万次郎を救ったのも捕鯨船だ。

 いずれにしても、この新疆ウイグル問題については、大国の動きに目が離せない。

 ■ビジネス・ブレークスルー(BBTch)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

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