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【東日本大震災から10年半 忘れない、立ち止まらない】高田松原にハマエンドウが咲いていた! 震災から10年かけて取り戻してきたもの (1/2ページ)

 一度失われたものは、決して完全に元通りにはならない。まちにしろ、地域コミュニティーにしろ-そのことを突きつけられ続けた10年だった。

 だがその分、取り戻してきたものを心からいとおしく思う。

 「高田松原にハマエンドウが咲いていたよ!」

 今年5月、知人から興奮気味に知らせを受けた。

 岩手県陸前高田市にある国の名勝・高田松原。震災前、一日5万人の海水浴客が訪れていたこともあった白砂青松のビーチで、今は「奇跡の一本松」があることで知られる。

 高田松原は、市民にとって特別な場所だ。家族で訪れた海水浴、学校帰りのデート、夏の花火大会…。その思い出を語るときは誰もが、誇りと、愛着と、郷愁がにじんだいい顔をする。

 かつて7万本あったとされる松林は大津波で根こそぎ奪われ、地盤沈下によって砂浜も失われた。その復旧工事と防潮堤建設が長く続けられてきたが、発災から10年が経過した今春、ようやく一般開放が始まり、松原へ立ち入れるようになった。

 養浜されたビーチに、以前の面影を見つけることは難しい。新たに植樹された4万本の松苗はまだ小さく、その成長には数十年の歳月を要する。

 だが、浜辺には確かに、ハマエンドウが…以前の松原にもあった小さな海浜植物が…広がっていた。種をまいたのではなく、自然再生したことも分かった。

 10年前に見た高田松原を思い出す。あのときもハマエンドウだけは、何事もなかったかのように咲いていた。だが、周囲には根元から折れた松の残骸とがれきが一面に広がり、見る影もなかった。

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