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【東日本大震災から10年半 忘れない、立ち止まらない】朝ドラ「おかモネ」に見いだす希望 若者よ、君たちの未来は明るい (2/2ページ)

 また、百音が持つ“サバイバーズ・ギルト”のような思いは、多かれ少なかれ誰の心にもあると知った。

 「被災地に住んでいるが被災していない」「家を失ったが家族は無事だった」「三陸出身だが当時は県外にいた」「東北が大変な時に駆けつけられなかった」…。よりつらい経験をした人と自分を比べ、罪悪感を覚える人のなんと多いことか。

 “おかモネ”はこうした感情一つ一つと、どこまでも丁寧に向き合う。何が、誰が正しいかなんて、答えは出さない。苦悩は苦悩のままに、けれど、いつだってその先に優しい「希望」を示してくれる。

 何より素晴らしいのは、主人公を取り巻く大人たちの存在だ。

 震災後、被災地の子どもが「将来は地元のために役立ちたい」と異口同音に語るのを聞いてきた。

 それをうれしく感じる一方、「このまちの復興を担う世代」という言葉が、かせになってはいまいかと気がかりだった。

 そんなわれわれの思いにも、この作品はしっかり応えてくれる。若者の存在そのものを“明かり”とし、前を向く大人たちを描くことで、震災を経験した若い世代の背中を温かく支え、前へと押してくれるのだ。

 郷土愛が、未来を狭める呪縛になってはいけない。どんな選択をしようと、あなたたちが幸せならばそれでいい-。そのことを、百音の父、耕治の言葉で伝えたい。「どこにいたって、お前たちの未来は明るい」と。

 ■鈴木英里(すずき・えり) 1979年、岩手県生まれ。立教大卒。東京の出版社勤務ののち、2007年、大船渡市・陸前高田市・住田町を販売エリアとする地域紙「東海新報」社に入社。震災時、記者として、被害の甚大だった陸前高田市を担当。現在は、同社社長。

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