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【昭和のことば】字の省略や崩しを伴うかわいらしい書き文字「丸文字」(昭和50年)

 先日、某病院の受け付け業務の方(推定年齢40代後半)から差し出されたメモが思いっきりの「丸文字」で、そこに書かれた自分の名前を見つめながら、なんだかニンマリしてしまった。

 丸文字とはこの年からはやり始めた、字の省略や崩しを伴う丸っこく「かわいらしい」書き文字で、主に女子高生や若いOLさんの間ではやった。幼く画一的に見える「風情」から、大人たちから嫌われることも多かったが、その後のワープロやコンピューターの発達で書き文字を目にする機会が減り、いつの間にか話題に上らなくなった。山根一眞氏の『変体少女文字の研究』によると、推定500万人以上の女子に愛用されていた。

 この年の主な事件は、「新幹線、岡山-博多間開業で、東京-九州が直結」「ベトナム戦争終結」「エリザベス英女王夫妻来日」「暴走族600人、鎌倉七里ガ浜で乱闘」「東京江戸川区の埋め立て地で、六価クロム汚染問題化」「皇太子夫妻、沖縄を訪問」「沖縄国際海洋博覧会開催」「日本赤軍、クアラルンプールの米・スウェーデン両大使館を占拠」「興人、会社更生法を適用。戦後最大の倒産」「天皇・皇后両陛下、訪米に出発」「『ワタシつくる人ボク食べる人』の即席ラーメンのCM、男女差別と非難され放映中止」など。

 プロ野球広島が、26年目の初優勝、世間は赤ヘルブームに沸いた。

 丸文字は消えたが、丸文字の痕跡は、メールやチャットなど、通信の端々にいまも残っている。絵文字、スタンプ、多彩な書き文字など、そのスピリットはますます進化している。 

(中丸謙一朗)

 〈昭和50(1975)年の流行歌〉 「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」(ダウン・タウン・ブギウギ・バンド)「シクラメンのかほり」(布施明)「我が良き友よ」(かまやつひろし)

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