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【ぴいぷる】ノンフィクションライター・小野一光 DV、シングルマザー、就職難、貧困…非常時だから性を売る、風俗嬢は社会を映す窓 新著『限界風俗嬢』が話題 (3/3ページ)

 この後妻業の女と同じ北九州市の出身。一時は俳優を目指したこともあり、映画『ハチ公物語』(1987年)では渋谷駅の駅員役で出演している。その後、『写真時代』など面白い雑誌を出していた白夜書房にバイトとして採用され、ライターの仕事を覚える。フリーになってからは、風俗取材と並行して、内戦中のアフガンなどに潜入する。

 「アフガンのカブールの街をクルマを走らせているとき、戦争未亡人の売春婦を目撃しました。生きていくためには、そうせざるを得ないんですね。イラクのサマーワでは人妻風俗嬢を取材しました。夫がクウェートに出稼ぎに行っている間、自宅に外国人のお客を招いていました。『いろんな人と経験してみたかった』と言ってました」

 戦争や災害という非常時にも、というか、非常時だからこそというか、性を売って生きる女性がいる。

 「コロナ禍、夫の収入が落ち込んだことで、風俗の世界に足を踏み入れる妻も珍しくありません。夫のDV、シングルマザー、就職難、貧困…。風俗は世の中のさまざまな問題に対する受け皿になっている面もあります。風俗嬢は現在の社会を映す窓なんです」(ペン・鈴木恭平/カメラ・松井英幸)

 ■小野一光(おの・いっこう) ノンフィクションライター。1966年生まれ。55歳。北九州市出身。高校卒業後に上京し、雑誌記者を経てフリーに。国際紛争、災害、殺人事件、風俗嬢などを中心に取材。『家族喰い』で講談社ノンフィクション賞候補、『殺人犯との対話』で大宅壮一ノンフィクション賞候補。著書に『風俗ライター、戦場へ行く』『灼熱のイラク戦場日記』『全告白 後妻業の女』など。「風俗嬢は自身の職業や過去について、近くにいる人には話しません。取材の際には『生活圏に入らない存在』であることを心がけています」

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