記事詳細

【無駄を嗜む】喫煙演出がアニメ作品に深みを与える たばこは不自由さから生まれた“演出の万能薬” (1/2ページ)

 日本のアニメ文化の中で、たばこは重要な演出技法です。アニメにおける喫煙シーンは、当たり前ですが絵に描かないと表現できない意図的な演出です。登場人物の性格づけという意味もありますが、セリフ以外の表現を担っている側面も大きい。例えば会話シーンで、滑舌良くセリフの応酬が無駄なく、合理的に、延々と続くのは実のところ不自然です。実際の会話で生じがちな無言の間隔を喫煙演出で埋めることで会話の「間」を作り、リアルさを出すわけです。いかにセリフで説明「しない」かがアニメ・映像演出のキモ。喫煙シーンがあれば必然的にセリフが減り、それ以外の演出を駆使することになるので、表現に奥行きが出るのも魅力です。その場所、そのタイミングでの喫煙自体が意味を持ち、あえてセリフやナレーションを入れなくても物語の補助線が引かれます。

 あまりにも有効な手法なので、古くは『コブラ』から最近の『機動戦士ガンダム サンダーボルト』まで、未来が舞台のSFであっても、喫煙シーンが登場する作品は枚挙にいとまがありません。『超時空要塞マクロス』では、戦闘中に禁煙のブリッジで艦長がたばこを吸い始め、それを女性クルーからたしなめられても「そんなことに構っている場合ではない」旨、一喝することで、生死がかかった状況の緊迫感を表現していました。たばこは演出の万能薬です。

関連ニュース