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【高橋洋一 日本の解き方】「過去最大規模」報道の55兆円経済対策 すでに始動済みの政策も含める違和感 安倍・菅政権の延長線で安心感はあるが力不足は否めない (1/2ページ)

 政府が決定した追加経済対策は約55兆7000億円で、「過去最大規模」と報じられている。来月の臨時国会に提出される補正予算案の中身を精査しないと、経済対策の中身はよく分からないが、報道によれば、これまで行ってきたことを改めて計上しているものが多い。

 財政支出の内訳は、新型コロナの拡大防止が約22兆1000億円、社会経済活動の再開と次の危機への備えが約9兆2000億円、新しい資本主義の起動が約19兆8000億円、防災・減災などの安全安心が約4兆6000億円だという。例えば、新しい資本主義の中で10兆円研究ファンドがあるが、これは安倍晋三政権で打ち出され、菅義偉政権で予算化したものだ。政府の説明では2021年運用開始とあるが、すでにスタートしているものを改めて経済対策というのはかなり違和感がある。

 そもそも「新しい資本主義」は、岸田文雄政権の看板政策だったが、かなり変容してきている。9月の総裁選では、(1)分配重視(2)令和版所得倍増(3)新自由主義からの転換-が3本柱だった。首相就任後、10月8日の所信表明演説では、分配重視は「成長と分配の好循環」へと変化した。この表現は安倍政権でも使っていたものだ。その一方、所得倍増という表現はない。ただし、「改革」にも言及せず、新自由主義からの転換は一応堅持していた。

 だが、10月26日の質問主意書への答弁では、所得倍増は平均所得などの倍増ではなく、経済政策の基本的方向性であるといい、所得倍増は完全に消え去った。

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