セーラー服姿の24歳女、女子校に潜入したワケ

2011.11.04

 水色のTシャツにポニーテールの地味な女が、意気消沈した様子でうつむいていた。建造物侵入と窃盗の容疑で捕まった東京都町田市の大学生、薬師寺美奈子(24、仮名)の裁判。「単なるコソ泥か」と思ったが、検察官が起訴状を読み上げ呆気に取られた。この女、いい年をしてセーラー服を着て女子校に侵入したという。

 東京都心にある、中高一貫の超名門私立女子校。指定の特徴的なセーラー服は1970年代に廃止され、現在、生徒は私服や好みの“女子高生ルック”で通学するが、一部生徒は現在も自主的にこれを着用。マニアの間では「幻の××(女子校の愛称)セーラー服」と呼ばれ、ネットオークションでは40万円近くの値段がつくこともある。

 美奈子も筋金入りの制服マニア。自宅にはブルセラショップと見間違えるほどの制服が山積みだ。同好の士から「××なら20万円で買う」と言われたことで、コレクションと転売目的で盗みを決意。5月24日夕、別のセーラー服姿で女子高を訪れ、警備員に目を合わせてお辞儀をすると、すんなり侵入に成功した。

 更衣室などを物色したが、目当てのブツは見当たらない。そこで、生徒のバッグから中学生の身分証明書を盗み出し、都内の指定販売店に行くことにした。

 「制服が汚れたのでスペアを作ってほしい」と注文したが、怪しんだ店員が警察に通報。美奈子は小柄で童顔とはいえ、中学生にしては老けすぎていた。店員の目は節穴ではなかったのだ。

 「以前にも体操着を盗んだことがあり、感覚がまひしていました。まっとうな社会人になるために、家にある制服は全て処分します」。東京地裁の法定で、美奈子は涙ながらに話した。求刑は1年6月。

 とんだ変態女がいたものだが、彼女の経歴を聞くと納得できた。母親が失踪したことで、中学校は不登校。高校は通信制で制服がなく、現在受講しているのも通信制の放送大学。美奈子にとってセーラー服は、失われた青春の象徴だったのかもしれない。(安藤健二)

 

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