見どころ満載のパリ…テーマ決めて見学を

★パリのセーヌ河岸

2012.06.15


パリのシンボル、エトワールの凱旋門【拡大】

 先月15日にパリでフランス大統領の交代式に遭遇しました。フランソワ・オランド新大統領の前途多難を告げるかのような変化に富んだ天候でしたが、エトワールの凱旋(がいせん)門には大きなフランス国旗が掲げられ、かの皇帝ナポレオンが行進してきそうな雰囲気でした。

 そこで今回はそのナポレオンの「余は、余がかくも愛したフランスの国民に囲まれ、セーヌ河のほとりに眠りたい」という遺言にある「パリのセーヌ河岸」について話しましょう。

 世界遺産に登録されている区域は、正確にはセーヌ河のシュリー橋からイエナ橋までの約8キロで、この中にはセーヌ右岸・左岸に加えてパリの発祥地であるシテ島やサン・ルイ島も含まれます。セーヌ右岸にはルーブル美術館やシャンゼリゼ通り、セーヌ左岸にはエッフェル塔やオルセー美術館、シテ島にはステンドグラスで有名なサント・シャペルやゴシック建築の最高傑作ノートルダム大聖堂があります。

 観光目的でパリを訪問する場合、パリの見どころがあまりにも多く、また内容も充実しているため、表面的な観光になりやすいので見学のテーマを設けることをお勧めします。例えば皇帝ナポレオンゆかりの地というテーマを設け、彼の墓所であるアンヴァリッドを訪ねながらフランス史におけるナポレオンの果たした役割を考えるのです。

 ナポレオン自身もルーブル宮を改築したり、マドレーヌ寺院を建てたりしましたが、彼のおいであるルイ・ナポレオン(ナポレオン3世)もジョルジュ・オスマンをセーヌ県知事に任命し、今日のパリ市街の原型を作らせ、フランスの近代化に貢献しているのです。

 パリの世界遺産を楽しむコツは、やはりゆっくり滞在して生活の雰囲気を感じると共に、日本の文化と対比しつつ「歴史の何故」を追求し、シャンソニエなどで現地の人と交流を図ることです。

 最近はバスの乗り入れ規制もあり、団体ではノートルダム大聖堂に足を運ぶ機会も少ないようですが、パリジャンの誇りである「我らが貴婦人」聖母マリアを訪ねないでパリを去るのは、ここで戴冠(たいかん)式を行ったナポレオン皇帝に対しても失礼です。

 この大聖堂内で行われるコンサートなど、さまざまな催し物に参加して現地の人との交流を図り、生きた文化に触れてこそセーヌ河岸の世界遺産の意義が理解できると思います。

 ■黒田尚嗣(くろだ・なおつぐ) 慶應義塾大学経済学部卒。現在、クラブツーリズム(株)テーマ旅行部顧問として旅の文化カレッジ「世界遺産講座」を担当し、旅について熱く語る。

 

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