世界最大落差“天使の滝”は一見の価値あり

★ベネズエラ「カナイマ国立公園」

2012.08.24


空から見たエンジェルフォール【拡大】

 ロンドンオリンピックを観戦していたら、英国の有名人シャーロック・ホームズを思い出して、その生みの親である作家コナン・ドイルの「The Lost World」を読みました。

 この作品は1997年の「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」にも影響を与えた小説ですが、愛する女性のために実績をあげたいと考えていた新聞記者マローンが世界的冒険家のジョン・ロクストン卿と南米のアマゾン奥地に向かう物語です。

 そこで今回はこのSF小説の舞台ギアナ高地のあるカナイマ国立公園をご紹介します。

 カナイマ国立公園はベネズエラのボリバル州にあり、四国の約1・6倍の広さのジャングルの中に大小100余りのテーブルマウンテン(卓状台地)が浮かび、94年に世界自然遺産として登録されました。カリブ海の風とアマゾンの風がぶつかる上空は雲ができやすく、年間を通じて霧に覆われることが多かったので、近年まで全容が分からず、「地球最後の秘境」と呼ばれてきました。

 コナン・ドイルの小説のモデルとなったテーブルマウンテンのロライマ山の山頂には、へリコプターの遊覧飛行で行くことができ、ベネズエラ、ブラジル、ガイアナ3国の国境を示す標識も確認することができます。

 この付近はサバンナ地帯(ラ・グラン・サバンナ)も広がっており、上空から眺める世界最古の岩群テプイの全貌は迫力があってギアナ高地の自然を満喫できます。

 しかし、この国立公園観光のハイライトはやはり世界最大落差を誇る「エンジェル・フォール」です。滝の名称は「天使の滝」という意味ではなく、発見者であるアメリカ人探検飛行家ジミー・エンジェルから命名され、「エンジェル氏の滝」という意味です。

 落差979メートルのこの滝には滝壷がなく、風によって流れ落ちる水が霧状に変化するさまは圧巻。世界三大瀑布であるナイアガラ、イグアス、ヴィクトリアの滝とは違った迫力があり、とても美しく神々しく感じます。

 この滝を眺めるライメの展望台にたどり着くにはグランサバンナを縦断し、セスナを乗り継いでカナイマ村へ。さらにボートで約4時間乗りラトンシト島に上陸してジャングルの中を1時間歩く必要があります。

 地球は狭くなり、交通手段が進歩して秘境が秘境でなくなってきている今日ですが、このギアナ高地はやはり秘境の中の秘境。失われた世界というよりも我々が忘れてしまった旅の冒険心をかりたててくれる世界です。

 ■黒田尚嗣(くろだ・なおつぐ) 慶應義塾大学経済学部卒。現在、クラブツーリズム(株)テーマ旅行部顧問として旅の文化カレッジ「世界遺産講座」を担当し、旅について熱く語る。

 

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