シルクロード“青の都”で印象的出会い

★ウズベキスタン「サマルカンド」

2012.09.28


サマルカンドの中心レギスタン広場【拡大】

 私の旅行人生を振り返ると、人類の残した偉大な世界遺産との出合いも感動的でしたが、その地に生きる人との出会いはそれ以上に素敵な思い出として心に残っています。そこで、今回は印象的な出会いの多かったシルクロードの中心、ウズベキスタンのサマルカンドについてお話しします。

 サマルカンドは古来より文化の交差路であり、「地上で最も美しい街」と言われ、それ故に略奪の対象となってきました。紀元前4世紀にはアレクサンダー大王に征服され、8世紀にはアラブ軍に、そして1220年にはモンゴルのチンギス・ハーンによって徹底的に破壊されました。

 しかし、14世紀に一代の英雄ティムールによって不死鳥のごとくよみがえり、「青の都」として繁栄を取り戻しました。「チンギス・ハーンは破壊し、ティムールは建設した」と言われるほどティムールはこの都が気に入り、愛妃ビビ・ハヌムにささげたとされるビビ・ハヌム・モスクなど、当時の技術の粋を集めた建造物を数多く残しました。

 サマルカンドの中心にあるレギスタン広場には、ウルグベク、シルドル、ティリャカリという3つのメドレッセ(イスラムの神学校)が立ち並び、その美しい外壁タイルが夕日や月光に映える光景は、ティムール帝国の富を今に誇示しているようです。この広場の華麗さは、世界の美しいとされる世界のどの広場にも劣りません。

 また、シルドルのメドレッセに描かれた鹿を追うライオンの図柄は、偶像崇拝を禁じたイスラム教では極めて異例。グラナダのアルハンブラ宮殿の「ライオンの噴水」同様に印象に残っています。

 しかし一番の見どころはやはりこの広場に集まってくる人です。サマルカンドはサンスクリット語のSamaryaに由来し、「人々が出会う場所」という意味がありますが、まさにここは人種のるつぼです。日本人そっくりの蒙古系から先住民族のソグド系民族にいたるまで、さまざまに着飾った民族が一堂に会する光景は飽きることがありません。

 私はこの広場やティムールの生まれ故郷であるシャフリサブスで多くの子供たちと一緒に写真を撮りましたが、その表情は素晴らしく、非常に生き生きとした目をしていた。まさしく本当の世界遺産はここにありという感じでした。

 私はこの地で出会った学生と今でも交流がありますが、人との出会いを大切にしつつ、人生を肯定的に考え「ひたむきに生きている」姿には感動を覚えます。世界遺産旅行の本当の醍醐(だいご)味は「人との出会い」ではないでしょうか。

 ■黒田尚嗣(くろだ・なおつぐ) 慶應義塾大学経済学部卒。現在、クラブツーリズム(株)テーマ旅行部顧問として旅の文化カレッジ「世界遺産講座」を担当し、旅について熱く語る。

 

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