神々が眠る日本最古「花の窟神社」と信仰の道「熊野古道」

★神々が眠る日本最古「花の窟神社」 いにしえより続く信仰の熊野古道

2013.01.11


うっそうとした木々をぬう熊野古道【拡大】

 今年は伊勢神宮の20年に一度行われる式年遷宮の年に当たることから、先日、お伊勢さんへお陰参りに行ってきました。本来この伊勢の神宮およびこの神宮で行われる種々の行事こそ日本を代表する世界遺産かと思いますが、神宮司庁は世界遺産の登録を辞退したと聞いています。

 そこで、今回は伊勢神宮に続く世界遺産「熊野古道」および神々が眠る日本最古の神社「花の窟(いわや)神社」を紹介します。花の窟は、神々の母であるイザナミノミコトの御陵であり、熊野三山の根源地としてわが国の信仰上、伊勢の神宮と共に非常に重要な神域でした。

 そのため、熊野古道(伊勢路)は「伊勢へ七度、熊野へ三度」と呼ばれる信仰の道だったのです。イザナミの埋葬地であり、古来「黄泉(よみ)の国」と呼ばれた熊野は、平安時代に浄土信仰が広まった際に「現世の浄土」とされ、穢れを清め、新たな自分へと再生する「蘇りの地」と見なされました。

 そこで、平安時代には法皇や公家が多数参詣し、江戸時代には伊勢のお陰参りと共に「蟻の熊野詣」で賑わいました。そもそも熊野信仰は、巨岩や滝などに神が宿るとする自然崇拝を起源としており、女人禁制だった高野山などとは異なり、熊野は男女を問わず、貴賎に関わらず、すべての参詣客を優しく受け入れてくれました。今日でも熊野古道の両脇の木々は精気に満ちあふれ、たたずむ石仏は素朴で参詣客の心を和ませてくれます。

 花の窟神社も社殿はなく、高さ約45メートルの窟がご神体であり、熊野三山や伊勢神宮成立前の太古の自然崇拝を漂わせています。花の窟のいわれは、季節の花々で神をお祀りしたことに由来し、古くから花祭りという珍しい祭礼を行っていました。

 熊野は森林、河川、海、滝、温泉など自然のもつさまざまなエネルギーを享受できる霊場であり、私がかつて「ヴィクトリアの滝」で紹介した五浴(日光浴・森林浴・海水浴・温泉浴・イオン浴)の旅には最適です。和歌山県でも今、世界遺産となった熊野を舞台に熊野地形療法(熊野セラピー)を提唱しています。

 式年遷宮を迎えた伊勢の神宮に参拝した後、熊野の精気に満ちた自然で心と体を癒やす旅は日本人にとって究極の世界遺産を訪ねる旅かと思います。

 ■黒田尚嗣(くろだ・なおつぐ) 慶應義塾大学経済学部卒。現在、クラブツーリズム(株)テーマ旅行部顧問として旅の文化カレッジ「世界遺産講座」を担当し、旅について熱く語る。

 

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