【日本の解き方】経済対策が必要な増税に意味はあるのか 消費税率8%報道と首相動静 

2013.09.19

 読売新聞は12日付朝刊で、「安倍晋三首相が来年4月に消費税率を8%に引き上げ、併せて5兆円規模の景気対策を実施する方針」と報じた。一方、菅義偉官房長官は「総理が、消費税を引き上げるというですね、決断をした事実はありません。総理は、経済指標をしっかり見極めて、総理が来月上旬に判断されるということであります」と記者会見で語った。

 両者は一見矛盾しているかのようだが、その真相はどうだろうか。カギは10日の首相動静にある。「午後6時38分、東京・丸の内のパレスホテル東京着。同ホテル内の日本料理店『和田倉』で渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長らと会食。午後9時15分、同ホテル発」とある。

 渡辺氏は、8月上旬、政治家らへ手紙を書いて、来年4月の消費税増税を見送り、軽減税率の整備とともに再来年の消費税増税を主張していた。新聞業界への軽減税率の適用なしで消費税が増税されることに反対したものとみられるが、この手紙は永田町界隈(かいわい)ではかなり話題になっていた。安倍首相が渡辺氏に消費税増税への取り組みについて話した可能性は否定できない。

 実は、10日の首相動静にはもう一つのカギがある。「午後0時55分から同2時2分まで、麻生太郎副総理兼財務相、甘利明経済再生担当相、菅義偉官房長官」とある。これを詳しく報じたのが、読売系のスポーツ報知。スポーツ新聞が一般紙並みに報じているのが興味深いが、この4者の間で5兆円の対策が議論されたという。対策の内容について、菅官房長官は12日の記者会見で麻生、甘利両氏が詰めていくと説明している。

 11日の首相動静にも、「午後3時54分から同4時42分まで、自民党の高村正彦副総裁、野田毅税制調査会長」とある。この時間帯で1時間も取って党に説明している。この情報は関係者が多いので、またたく間に広がった。読売新聞は、多くの関係者からの裏をとって12日朝刊に打ち出せたのだろう。

 12日の菅官房長官の記者会見は、読売新聞の報道を否定するのではなく、まだ首相が決断したのではないという言い方であって、報道内容とは矛盾していない。

 一方、経済対策の中身を議論してもあまり意味はない。ジョークみたいな話だが、最良の経済対策は、3%の消費税減税だ。これであれば、消費税増税の影響を完全に相殺できる。それに近いものとしては、所得税減税と給付金の組み合わせがある。ただし、これをキチンとやるためには、歳入庁、番号制度による所得・資産把握が必要なので今はできない。

 政府支出や特定の減税という政策にすれば、一定のマクロ経済効果はあるが不公平感が高まる。いずれにしても最終消費者からむしり取って、特定利害関係者にばらまくだけになる。

 それにしても、総合経済対策が必要な増税って一体何のためなのかという素朴な疑問にはどのように答えるのだろうか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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