今週は進路指導教諭が勧める、『就職に力を入れている大学ランク』を紹介する。
トップは4年連続で明治大。有名企業への就職実績が高く、大規模な大学にもかかわらず就職支援が手厚く高評価だ。
女子校の進路指導教諭は「女子の就職の面倒見がいいと卒業生が話していました」と話す。明治大は女子の人気がアップしているが、手厚い就職支援も理由のひとつ。
昨年の18位から4位に躍進したのが産業能率大。1979年に開学し、自由が丘キャンパスにある経営と、湘南キャンパスにある情報マネジメントの2学部がある。同大はアクティブラーニングで知られる。
どんな授業なのか。自由が丘商店街と一緒に地元の3大祭りの運営に参加したり、横浜DeNAベイスターズ球団の2軍戦で観客動員イベントを企画し、イベントスタッフとして当日の運営を行ったり、社会との連携の中で、さまざまなことを学ぶ。
産業能率大の入試企画部長の林巧樹氏は「能動的学習で能力を高めるアクティブラーニングです。学生が主体的に動き、どんな職業についても求められるコミュニケーション、プレゼンテーション能力などが自然に身につき、そこが企業に評価されているのだと思います」という。
5位は国際教養大、学生数の多い法政大、中央大、近畿大が続いた。人気大学でも、最近は就職に力を入れていることがわかる。
10位は福岡工業大。エントリーシートの添削や模擬面接などを行う就職ガイダンスは、希望者が参加するのが普通だが、同大は全員参加を実現している。各学科に担当職員がおり、就活の出足が鈍い学生、停滞している学生ら一人一人の進行度に応じてきめ細かくサポートしている。東京や大阪への就活の交通費援助を行っていることも、評価される理由だろう。
高校の進路指導教諭は「生徒や保護者の大学選びの最大の関心は就職で、出口の実績が入り口の生徒募集に直結する時代になってきています」という。不況が続く限り、この傾向は進み、各大学は就職支援の体制が問われることになる。
■安田賢治(やすだ・けんじ) 大学通信の情報調査・編集部ゼネラルマネジャー。1956年兵庫県生まれ。灘中高、早稲田大卒業後、大学通信入社。中高・大学受験の案内書・情報誌の編集責任者として大学合格や就職情報を発信。私立学校のコンサルティングにも協力。著書に『中学受験のひみつ』(朝日出版)など。