今週は、高校の進路指導教諭が勧める「教育力が高い大学」を紹介する。進路指導教諭に5校連記で大学を記入してもらい、最初の大学を5ポイント、次の大学を4ポイント……として集計した。
トップは先ごろ、海外の調査機関の世界の大学ランキングで、アジアトップを守った東大。続いて京大、東北大の旧帝大がトップ3を占めた。
東大では、「進学振り分けのために学生は必死で勉強しているし、教授の授業も高度で卒業生の満足度は高い」(京都・私立高)など、進学振り分けに関する意見が見られた。東大は入試の段階では、文科I類や理科I類など6学類別に募集しているが、3年次に進級するときに学部学科に分かれる。これが進学振り分けで、希望の学部学科に進学するには、それまでの成績で決まるため、学生は真剣に学ぶ。
3大学の評価で多かったのが、「大学の真の教育力は研究力によって作られるもの」(福島・私立高)という考え。多くの進路指導教諭は「研究力=教育力」とみている。進学校の進路指導教諭は「大学の研究と教育は車の両輪。最先端の研究成果が授業に反映され、それは学生にとって最先端の知を学べることになり、研究力が高い大学は教育力が高い大学なのです」という。
だから、「文部科学省が各大学に配分する科学研究費補助金(科研費)が多い」(神奈川・県立高)ことを、教育力の高さと見る教諭が多い。今年の科研費は東大が約199億円でトップ。次いで京大、大阪大、東北大と続き、いずれの大学も教育力が高い大学ランクに出てくる。
科研費をたくさん取得していることは、優秀な研究を進めていることになる。つまり「一流の教員が質の高い授業をしている」(埼玉・県立高)ことにつながっている。
グローバル教育で評価される国際教養大や国際基督教大も「高いレベルの語学と教養の授業」(栃木・県立高)が評価の理由となった。
ランクに出てくる大学は、いずれも難易度の高い難関大学ばかり。高いハードルを越えて入学しないと、授業についていけないともいえそうだ。
■安田賢治(やすだ・けんじ) 大学通信の情報調査・編集部ゼネラルマネジャー。1956年兵庫県生まれ。灘中高、早稲田大卒業後、大学通信入社。中高・大学受験の案内書・情報誌の編集責任者として大学合格や就職情報を発信。私立学校のコンサルティングにも協力。著書に『中学受験のひみつ』(朝日出版)など。