「ボクは知らなかった」支離滅裂なオバマ大統領 独メルケル首相の電話盗聴 

2013.11.07


「支離滅裂」なオバマ大統領とライス氏(ロイター)【拡大】

 世界の指導者を憤慨させている米国家安全保障局(NSA)の盗聴問題に関連して、米国の著名な保守派の評論家がこう言っていた。

 「オバマ大統領はクールなことで知られてきたが、このところ支離滅裂になっている」

 この評論家らワシントンの人々が最も驚いているのは、ドイツのメルケル首相に対する長期間の携帯電話盗聴について、オバマ氏が「ボクは知らなかった」と言っていることだ。

 私は、NSAのことを「米国スパイの親玉」と呼んでいる。CIAをはじめ米国の全情報機関のハードウエアを管理しているNSAの行動を大統領が知らないなどということはありえない。

 私がハドソン研究所の首席研究員になったばかりの頃、一緒に安全保障問題を担当した防衛部長のウィリアム・オドム中将は、NSA元長官だった。米陸軍士官学校の教官をつとめたこともあるオドム氏は、日本的な表現を使えば古武士の風格を持つ人物だった。彼は、私にNSA時代の興味深い話をいろいろ聞かせてくれた。

 オドム氏が長官だった当時、米情報機関は全力をあげて、北朝鮮の核兵器とミサイルの開発を監視していた。

 「米国のスパイ衛星、偵察衛星は計100個以上ある。そうした衛星から送られて来る写真や情報を毎日、フォートミードのNSA本部からホワイトハウスまで自分で届けた。様々な情報を安全保障担当補佐官と検討した後、大統領に説明した」

 オドム氏はこう話してくれた。米国の組織は、基本的なところは大きく変わっていないから、いまでもNSAが集めた情報は、オバマ政権のスーザン・ライス安全保障担当補佐官に届けられ、オバマ氏に説明されているはずだ。

 ライス氏は、安全保障より国内政治に関心が強いといわれており、大統領ぬきで問題を処理することなどできない。組織的にみても、現在のホワイトハウスのスタッフの質から考えても、NSAの大がかりな盗聴を大統領が知らなかったとはとても考えられない。

 今度の盗聴問題については、オバマ氏だけでなく、米マスコミも支離滅裂だ。メルケル首相の携帯電話盗聴についてドイツ政府がホワイトハウスに対し、「個人のプライバシーの侵害は民主主義を損なうもの」と厳重な抗議を行ったとき、某大手紙は「米国から民主主義を教わったドイツが、先生である米国に講釈をたれるのか」と書いた。「ドイツもフランスもやっていることだ」と書いた新聞もある。

 NSAが同盟国をふくめて各国の三十数人に及ぶ指導者の通信を盗聴していたという事実は、米国にとって国際的に敵も味方もいないことをはっきりさせた。我々はこのことを、しっかりと自覚する必要がある。

 ■日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。

 

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。