【震災から3年 福島のリアル】賠償の差が生み出した被災生活格差 被害大きくても対象地区外れると…

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2014.04.02


仮設住宅エリア(右)と高級住宅街(左)。一本の通りを挟んで対照的な景色が続く=福島・いわきニュータウン【拡大】

 原発が爆発するという想定外の事態に襲われた福島。3年を経過したいまも放射能の脅威は収まらず、復興のスピードを妨げる大きな足かせとなっている。事故後の賠償をめぐって生活格差も生まれ、被災の街に新たな影を落としている。 (安里洋輔)

 原発事故の避難者が多く住む福島県いわき市。

 休日の昼間、中心部の幹線道路沿いに立つ地元で有名な高級レストランをのぞくと、おめかししたカップルや、子供の記念日を祝う家族連れに混ざり、どてらやジャージーを着た一団が陣取っていた。

 ひときわ目立ち、異彩を放っている。服装のミスマッチというのではない。はぶりがいいのだ。

 飲食店の関係者は「避難者のお客さまですよ。原発事故の補償が入って懐が温かいから、気前がいい。震災後はすっかりお得意様になりましたね」と上機嫌に話す。

 市内の仮設住宅を回ってみると、駐車場にはベンツやBMW、新車価格400万円超の国産ワゴン車など高級車が並ぶ。「ほとんどの人は原発事故の賠償金で購入したんじゃないかな」と地元住民が説明してくれた。

 ふるさとからの避難と引き換えにしたささやかなぜいたく。この程度で心の傷を癒やせるはずもないが、同じ悲しみを背負わされながら、対照的な事態も起きている。

 「見てください。これがここの現実ですよ」

 団体職員の男性(40)は、そう言いながら、市中心部にある丘陵地帯に造成された「いわきニュータウン」(いわき市中央台)の一角を指し示した。

 片側には真新しい一戸建てがズラリ。もう片側には、平屋造りの簡素な仮設住宅が立ち並ぶ。

 きれいに整備された道路が境界線になるような形で、左右両極端な光景が広がっていた。

 「仮設に入居している人の多くは、広野町(福島県双葉郡)の人たち。一方で、同じ被災者の中には、(賠償金などで)こんな立派な新居を建てた人もいる。震災に遭ったとき、住んでいた地域によって状況がまるで違うんです」(先の男性)

 原発事故の避難区域にかかった地域の被災者には東電から、一律月額10万円か12万円の賠償金が支払われる。以前は広野町も対象になっていたが、2012年8月末でその指定が外れたという。その賠償金の差が先の対照的な集落を作りだしてもいる。

 文部科学省によれば、原発事故の賠償金は、原子力損害賠償紛争審査会の指針に基づき、東京電力が負担し、帰還困難区域は故郷喪失慰謝料が上乗せされる。

 同省の試算では、30代の夫、妻、子供2人の持ち家4人世帯が福島県内の都市部へ移住した場合、(1)帰還困難区域で1億675万円(2)居住制限区域で7197万円(3)避難指示解除準備区域で5681万円(いずれも総額)−に分かれる。

 「一時金や休業補償なども支給額はまちまちで、そもそも避難区域や警戒区域など、対象の地区から外れている自治体は(被害が大きくても)何ももらえない。待遇の違いに不公平感を覚える被災者もいる」(いわき市の市政関係者)

 賠償などの多さ低さ、あるなしで変わった生活環境。これも「3・11」後のいち断面なのだ。

 

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