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中国については、韓国と同じように考えてはならない。いずれも地理的に離れることができない隣国だが、その規模がまったく違う。中国は12億人の人口を抱え、GDP(国内総生産)世界第2位の大国である。そして、戦前から、非常に巧妙な情報戦を展開している。「南京大虐殺」は一つの例だ。
南京大虐殺は、蒋介石率いる中国国民党政府が作り上げた壮大なプロパガンダである。中国の情報機関が背後で暗躍し、欧米のジャーナリストを駆使して、巧みに国際世論を誘導した。
「南京大虐殺」を最初に報道したのは、南京にいた『ニューヨーク・タイムズ』と『シカゴ・デイリー・ニューズ』の外国特派員だ。彼らの情報源となったのは、米国人宣教師で、国民党政府顧問でもあったBである。Bは国民党中央宣伝部の計画に従って、虚構の報告を書いたとされる。
また、英紙『マンチェスター・ガーディアン』中国特派員のTが、南京陥落について『戦争とは何か』という本を書き、ロンドンとニューヨークで出版した。内容は中央宣伝部が作り上げたものだが、英国人や米国人は、まさか西洋人がウソを書くとは思わず、内容の残酷さに震撼(しんかん)した。
Tの素性については、中国社会科学院の『近代来華外国人人名事典』に、こう記されている。
「盧溝橋事件後に国民党政府により欧米に派遣され宣伝工作に従事、続いて国民党中央宣伝部顧問に就任した」
つまり、中国が公的に認める「スパイ」だったわけである。