先日の本コラムで消費の落ち込みを書いたら、今度は設備投資も落ち込んでいるという統計が出てきた。内閣府が10日発表した5月の機械受注統計によると、民需(船舶、電力を除く)受注額(季節調整済み)は前月比19・5%減だった。
この指標は民間設備投資の先行指標である。国内総生産(GDP)は民間消費、民間設備投資、公的部門、海外等で構成されているが、民間消費と民間設備投資でGDPの7割程度を占めるので、この両者に黄色信号が出たことは、日本経済の先行きに不安を感じる。
今回の機械受注の落ち込みを過去2回の消費税増税時(1989年、97年)と比較してみよう。民需(船舶、電力を除く)の受注額の対前年同月比の推移をみるのがいい。マスコミ報道は、出てきた数字がプラスかマイナスかにしか関心がなく、対前月比なのか、対前年同月比なのかで、大きな違いがあることに気づかないことが多い。
機械受注の前月比19・5%減という数字についても、「前月が高すぎたので一時的な現象だ」と説明されると、ころっとだまされる。実は、対前年同月比でみても、14・3%の減少という大きなマイナスである。89年も97年も多少勢いは下がるものの、今回のように増税直後にマイナスになることはなかった。この意味で、今回の消費税増税の影響は過去2回の増税時と比べて大きいといわざるをえない。