消費と設備投資の他にも、気になる統計は出ている。内閣府が10日発表した景気ウォッチャー調査だ。内閣府の説明資料に、「6月の現状判断DIは、前月比2・6ポイント上昇の47・7となり、2カ月連続で上昇した」「景気は、緩やかな回復基調が続いており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響も薄れつつある」と書かれていることから、その部分だけをノー天気に引用した報道が多かった。
だが、増税後の4月に大きく落ち込み、その後、「2か月上昇」したが、前の水準まで戻っていない。この「前の水準に戻っていない」という点がマスコミ報道に欠落している。
直前から上昇しているというのは、景気が良いことを示すとは限らない。このことは覚えておいたほうがいい。そのために、対前月比(前期比)の数字だけではなく、対前年同月比(前年同期比)の数字も必要である。
マスコミが、こうした数字に弱いことを政府は知っている。年末には、消費税率10%への再増税の判断を行う。といっても、政治的には、消費税再増税は、民主党政権時代に法律も通っており「決着済み」ともいえよう。正確にいえば、10%への再増税をひっくり返すには、新たな法律を国会で通さなければいけないという意味である。
いずれにしても再増税の判断は、7〜9月期のGDPで判断するというが、4〜6月期と比べて(前期比)プラスになっているという程度で再増税になったらまずい。昨年7〜9月期と比べて(前年同期比)プラスとなることが最低条件だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)