能登、伝説の杜氏と会い旬のイカ刺しに舌鼓

2014.08.08

連載:ライフ


イカ漁の船【拡大】

 朝、JR金沢駅前で知人と落ち合い、車で奥能登へ。前線の影響であいにくの雨。まず目指したのは、「のと里山海道」の終点で奥能登の基点、能登空港。なだらかな丘陵、穏やかな海、優しい人、そしておいしい食べ物を目指しての旅だ。 (清丸恵三郎)

 能登空港のしゃれたロビーに入るとまず目を引いたのが、地元の祭りを描いた迫力ある壁画。「キリコ」あるいは「ホートー(宝燈)」と呼ばれる巨大な灯籠のようなものを乗せた山車を、屈強な男たちが街中を担いで練り歩く。能登の典型的なお祭りスタイルで、かつて1度、目にしたことがある。7、8月中はどこかの町や村でにぎやかに繰りひろげられているのだとか。

 ロビー内の「能登の旅情報センター」に、「能登が全国に誇る技能者集団 能登杜氏(とうじ)」というパンフレットがあった。酒蔵で蔵人を統率するのが杜氏で、酒のうまいまずいはその腕にかかる。能登杜氏は南部、越後、丹波と並ぶ四大杜氏集団の1つだ。

 能登杜氏の四天王も紹介されている。筆頭が農口(のぐち)尚彦さん。「菊姫」を全国ブランドに育て、昨秋から自らの名を冠した「農口」を醸している。NHKのTV番組「プロフェッショナル」で“伝説の杜氏”として鬼気迫る酒造りが紹介され注目を浴びたから、ご記憶の方も多いだろう。

 知人を通じて連絡をとってあったので、富山湾側の能登町(旧内浦町)にある農口さん宅を目指す。能登の海岸は荒々しい外浦とおだやかな内浦とが対象をなす。見附島、恋路海岸、九十九(つくも)湾と風光明媚(めいび)な海岸が続く内浦の一角、赤崎近くにお宅はあった。

 にこやかな顔つきで迎えてくれた農口さんは、今年81歳。祖父、父親と続く杜氏三代目。春から夏にかけては、酒造りは休み。講演などで出かける以外はのんびりと農作業をしたりしているのだとか。しかし酒造りの話になると目つきは鋭く、口調も厳しくなる。勘の仕事と思われがちな杜氏の仕事だが、米の研ぎ方、温度、水質、時間管理など、この人の場合極めて科学的に酒造りに向かい合っている。

 現在、能登杜氏組合は登録されている杜氏だけでも76人。夏の講習会には他地域の杜氏も出席、その数は100人以上にのぼる。その頂点に農口さんがいる。

 ほどなく帰途に。途中、小木港へ寄るとイカ漁の最盛期だとかで、次々と水揚げされている。このまま金沢や大阪に送られるのだという。実は奥能登2市2町では、地元食材を使った「能登丼」が55店舗で食べられるのだという。残念なことに目指す海鮮丼は食べられなかったが、途中の小さな食堂でイカ刺を食べることができた。新鮮で歯応えがよく、地酒と相まってまさに絶品だった。

 雨は激しくなり、夕闇が迫る。大相撲の遠藤関の故郷穴水町を通り抜け、永平寺と並ぶ曹洞宗大本山總持(そうじ)寺祖院は門前で慌しく一礼しただけで過ぎ去るしかなかった。

 

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