今週は、銀行に就職者が多い大学ランクを紹介したい。このランクは、大学通信が各大学に企業別就職者数をアンケートしたなかから、日本銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほFG、りそなグループなど19行の就職者数を合計した。
トップは慶應大だった。就職先の内訳は、みずほFG143人、三菱東京UFJ銀行117人、三井住友銀行74人など。2位は早稲田大で、三菱東京UFJ銀行が111人でトップだった。その後、明治大、同志社大、関西学院大、立教大と続き、私立大がベスト10を独占した。
企業の人材採用支援などを行っている「ワークスジャパン」の清水信一郎社長は「メガバンクでは1000人以上採用というところもあり、まずは人数を確保したいのが最初にあります。このため、文系の卒業生が多い私立大からの採用が多くなってしまう。学生は安定志向ですから、銀行の人気は高い。採用はエリア総合職や一般職の割合が高いのですが、学生も転勤を好まず、親の近くで働くことを望みますので、人気に影響はありません」と話す。
国立大トップは東大の154人で13位。就職者が最も多いのが三菱東京UFJ銀行の37人だった。日本銀行は16人と数は少ないが、大学別ではトップの就職者数だ。次いで一橋大117人、京大112人と続く。国立大でも銀行人気が高いことが分かる。
一方で、就職者が少ない大学もある。清水氏は「秋田にある国際教養大は、すべての授業が英語で1年次は留学生と一緒の寮生活、卒業までに1年間留学必須ですが、銀行への就職者が少ない。留学すると、海外での日本のブランドはメーカーだと分かるからではないでしょうか。日本の銀行はグローバル化のイメージに欠けるため、敬遠されているのかもしれません」と話す。
銀行には、どのような学生が向いているのか。清水氏は「どの仕事でも同じですが、特に銀行では、冒険したりするのではなく、正確にきっちりやるべきことができる人に向いていると思います」と話す。
入試ではケアレスミスの少ない受験生が合格を勝ち取りやすい。まさに受験勉強の勝ち組に向いているのかもしれない。
■安田賢治(やすだ・けんじ) 大学通信の情報調査・編集部ゼネラルマネジャー。1956年兵庫県生まれ。灘中高、早稲田大卒業後、大学通信入社。中高・大学受験の案内書・情報誌の編集責任者として大学合格や就職情報を発信。私立学校のコンサルティングにも協力。著書に『中学受験のひみつ』(朝日出版)など。