中国が、沖縄県・尖閣諸島への野心をあらわにするなか、米国が沖縄統治中(1945〜72年)に、「日本の領有権」を認めていたことを示す、重要文書の原本が発見された。米国政府の出先機関「琉球列島米国民政府」(以下、米民政府)が、尖閣での警戒飛行や不法上陸者を取り締まる方針を定めていたのだ。ジャーナリストの大高未貴氏が迫った。
「先日、沖縄集団自決に関する調査のために沖縄公文書館に行き、偶然発見した。米民政府の下部組織『琉球政府』行政主席の引継ぎ文書の中に紛れ込んでいた」
原本を発見した南西諸島安全保障研究所の奥茂治氏はこう語る。
注目の文書は、米民政府のスタンレー・S・カーペンター氏(民政官)が1968年9月、琉球政府の松岡政保行政主席に出したもの。台湾(中華民国)籍の45人が尖閣諸島に不法上陸し、座礁した船の解体作業をしていただけでなく、数隻の台湾漁船が不法上陸を繰り返していると指摘し、こう記している。
《不法入域をなくすため、現場点検を行う制度を確立すべきだ。琉球政府警察による巡視に加え、入域許可を得ていない場合、琉球の法令に基づき起訴・処罰されることを示した警告板を、尖閣諸島に掲示するよう提案したい。英語と日本語、中国語で書くと有効だ。米軍は尖閣上空の飛行を行う手配をした》
具体的な対策といえる。72年の本土復帰と同時に琉球政府が消滅したため、原本は埋もれていたようだ。発見の歴史的意味を専門家に聞いた。