また、法隆寺北東の岡本地区に位置する法起寺の三重塔も法隆寺とともに日本で最初に世界文化遺産に登録されたわが国最古の三重塔です。
法起寺はかつて「ほっきじ」と呼んでいましたが、世界遺産に登録される際、「法」の読み方を統一する必要から当時の高田良信法隆寺管長が「ほうきじ」を正式名称としました。この三重塔は法隆寺の五重塔の二層、四層をだるま落としの要領で抜いた形になっているそうです。
日本最初の世界文化遺産だけあって法隆寺は「仏教美術の集大成」ですが、約1300年もの風雪に耐えた五重塔をヒントに現代の高層ビルが建てられていることを思えば、古代人の偉大な英知には驚かされます。
■黒田尚嗣(くろだ・なおつぐ) 慶應義塾大学経済学部卒。現在、クラブツーリズム(株)テーマ旅行部顧問として旅の文化カレッジ「世界遺産講座」を担当し、旅について熱く語る。