日本政府は韓国との通貨スワップ協定を延長しないことを正式発表した。打ち切りは日韓にどのような影響を与えるのだろうか。
通貨スワップ協定は2国間や多国間で、自国通貨と外貨を交換する契約。日韓の通貨スワップ協定によって、韓国はウォンを日本に渡し、米ドルと日本円を受け取れる。財務省と韓国銀行間のものと、日銀と韓国銀行間のものがある。
当初は「チェンマイ・イニシアチブ」という枠組みで、1997〜98年のアジア通貨危機後の東アジアにおける金融協力の必要性に基づくものだった。
2000年5月の第2回ASEAN+3財務相会議(タイ・チェンマイで開催)で、外貨準備を使って短期的な外貨資金の融通を行う2国間の通貨スワップに合意があり、それに基づき、財務省と韓国銀行間で01年7月に通貨スワップ協定が締結された。
また、日銀と韓国銀行との間でも05年5月に通貨スワップ協定が締結された。これは、リーマン・ショック以降、時限的に拡充されたが、13年7月に協定は満期終了されている。今回、延長しないとされたのは、財務省と韓銀間のものだ。
財務省や日銀と韓銀との間の通貨スワップ協定はどのような効果があったのだろうか。
為替は、平常時であれば、両国間の金融政策の差でだいたい決まるが、通貨危機時は、そうした理論は働かずに、一方的に自国通貨が安くなる。金融引き締めを行っても、自国経済を痛めるだけで、為替の安定化にはあまり効果がない。
その際、直接的な自国通貨買い介入が有効である。ただし、自国通貨買いをするにしても、外貨準備が大きくないとそれもできなくなってしまう。その意味で、外貨準備が通貨危機の時にはものを言う。