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日本最西端の島、与那国島(沖縄県与那国町)で2月22日、陸上自衛隊沿岸監視部隊配備の是非を問う住民投票が行われ、「賛成」が約6割の得票で「反対」を下した。島に配備される沿岸監視部隊は、中国の軍用機や艦船の動向を早期に察知する上で重要な役割を果たす。配備は日本の安全保障に不可欠だ。
そもそも、一自治体の住民投票で国の安全保障を問うのは地方自治の枠を超え、妥当ではない。住民投票は配備反対派が主導したのだ。
過去の町長選では、配備推進派が連勝した。「現状では勝てない」と判断した反対派は、強引に条例を制定し、中学生と永住外国人にまで投票権者の枠を広げた。
さらに、島に設置予定の沿岸監視レーダーが出す電磁波が「住民の健康をむしばむ」などと科学的裏付けがない主張も展開し、町民の不安をあおった。
それでも結果は、町民の良識が勝利した。困惑したのは、米軍や自衛隊に批判的な報道で知られる沖縄のマスコミだった。投票結果を報じた記事や社説は「町民にとって生き残りを賭けた窮余の一策」(沖縄タイムス)、「結果をもって、計画が町民の全面的な信認を得たとまでは言えないだろう」(琉球新報)などと強調した。
深刻な過疎化に悩む町民が経済的に追い詰められ、やむを得ず配備に賛成したかのようなイメージづくりに腐心した。