池澤夏樹さん、震災きっかけに良い国だと実感 国民性を知るには「日本文学」 (2/3ページ)

2015.04.18

連載:ブック


池澤夏樹さん【拡大】

 ──作品の選択は

 「日本文学といっても、古典だけ、近代だけにしない。古典は翻訳を使う。僕は父(福永武彦)の世代の作家たちが一生懸命手がけた現代語訳という資産もあるわけだから、その流用でいいと思っていたら、河出の若い編集者たちは熱心で、どうせだったら現代作家に(現代語訳を)頼みましょうという。最初は心配でしたが、多くの方が手を挙げてくださいました」

 ──作家陣も芥川賞作家、直木賞作家、詩人、俳人と幅広い

 「それは河出の編集者のお手柄です。現代語訳の担当は作家の文体で選び、それがぴったり合いました。やはり文芸誌『文藝』を抱えているだけある、えらいなあと思います。実は、現代語訳をすると作家自身も変わるんです」

 ──ご自身が古事記を選ばれたのは

 「僕は古事記が好きなので、父親(作家・福永武彦氏)の現代語訳もあるから、つい張り合って古事記をやりましょうと言ってしまいました」

 ──訳出方法は

 「基本文献をセレクションして、全体をざっと読み2カ所選んで、どういう文体になるか、試し訳を作ってみた。そうすると知らない言葉が次から次へと出て来る。その説明を本文に織り込むと文章が伸びるんです。僕は気が短いからサクサク話を進めたい。特に古事記の場合は。じゃあ、知らない言葉には脚注をつけちゃおう。『ハワイイ紀行』で脚注にはまったことがあるから今度もその手でいったのです。歌謡は原文の横に現代語訳をつけました。困ったのは神様の名前と人の名前。それは一行、一行改行して立ててしまおう。そして世代ごとに一段ずつ下げていきました。そして再び最初に戻って、丁寧に訳していきました。きっちり1年間掛かりました。訳してみて、戦いはしたけれど、居丈高に追いつめない国民性だ、あの穏やかさが本来の日本人じゃないかと思うのです」

 

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