命がけの職業といえば、何を思い出すだろうか。世界一安全な日本でも、自衛官や海上保安官、警察官、消防士など、仕事内容ゆえに死を意識する職業は少なからず存在する。
弁護士や裁判官、検察官などの法曹は、時に事件関係者に逆恨みされ、襲われる。坂本弁護士一家殺害事件が代表例だ。あれが毎年何件もあれば、法曹も命がけの職業といえるが、日米両国とも件数で考えれば、女性を狙ったストーカー殺人の方がはるかに多い。
ところが、世の中には正真正銘、命がけの仕事に取り組む弁護士がいる。中華人民共和国(PRC)の人権派弁護士である。
PRC政府が、自国民の人権を一切考慮しないことは周知の事実だ。天安門事件では、武器を持たない学生に発砲した。戦車でひき殺された者もいた。凄惨(せいさん)な現場写真は、ネット検索ですぐ見つかる。
安倍晋三首相を「独裁者」と批判する人がいるが、本物の独裁者は批判者を躊躇(ちゅうちょ)なく拘束して、痛めつける。彼らが無事なのは、主張が誤りだという証明でもある。
その点、PRCは本物の独裁国家だから、人権侵害は筋金入りだ。それでも法輪功学習者への弾圧には、私も驚いた。
1990年代、気功サークル法輪功の学習者は全世界で1億人を超えた。影響力を恐れた当時の江沢民国家主席は突然、弾圧を開始した。法輪功学習者というだけで犯罪者扱いされ、逮捕や監禁、拷問された。腎臓や肝臓など生体臓器移植のドナーにされ、殺された者が数万人という信じがたい指摘もある。