韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する名誉毀損(きそん)の罪に問われた産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に対し、ソウル中央地裁が「無罪判決」を下した。この判決をどう見るか。夕刊フジで「ニッポンの新常識」(金曜)を連載する、米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏が激白した。
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まず、日本人は韓国に感謝する必要は一切ない。起訴すること自体が極めて異常であり、間違っていたことが少し普通に戻っただけだ。無罪判決は当たり前。決して、韓国が「日本にいいことをした」わけではない。
米国では、他国が「民主主義国家かどうか」「先進国かどうか」を判断する際、真っ先に「言論の自由が認められているか」を見る。
韓国はこれだけ経済成長したので「そろそろ大丈夫だろう」と思っていたら、いきなり民主主義の根幹である「言論の自由」を弾圧する暴挙に出た。韓国の民主主義への信頼は根底から崩れた。まともな法治国家ではなく、ある意味、独裁国家だった。米国の韓国に対する意識は、数十年戻ったといえる。
裁判長は判決公判で、韓国外務省から「日韓関係を考えて善処を求める」という趣旨の文書が提出されたことを明らかにした。裁判所としては、「反日」の国内世論を恐れて責任回避しようとしたのだろう。無責任だ。
判決文を読み上げた約3時間、裁判長は加藤前支局長の着席を認めず、立ったままにさせていたという。一種の虐待だ。長時間に及ぶ場合、先進国なら着席させる。これも世論に対して、「裁判所は厳しく対応している」とアピールしたかったのではないか。