この正月以来、東京都内で地鳴りが聞こえたという情報が毎日のように報告されている。多いのは目黒区、渋谷区、世田谷区など東京23区の南部だ。
いままで地震が起きたことがない東京湾北部で昨年12月末、午後10時すぎから約1時間の間に有感地震が5回起きた。このときも地鳴りが聞こえたという。今回も地震関連の地鳴りではないかという不安が高まっている。
しかし、いまのところ地鳴りの原因は分からない。飛行機の音ではないかという説もある。
たしかに、上空の気温の分布が空気中の音速の分布に影響して、ある場所に遠くの音が集中して聞こえることがある。げんに、昨年9月に大きな爆発音が鹿児島県・徳之島や沖永良部島、奄美大島で相次いだときも、地震や火山噴火ではなかった。
多くの異音報告を聞いて警察があわてて調べたが島内に被害はなく、上空を北から南に飛んだ飛行機が起こした「ソニックブーム」だったのではないかと思われている。ソニックブームとは、戦闘機などが音速を超えたときに衝撃波が発生して大音響が生じる現象だ。
ところで、地震による地鳴りは昔から数多く報告されている。
地震の震源からはさまざまな周波数の振動が出る。周期の長いほうは大津波を生んだり、高層ビルを共鳴させるような数秒以上の振動もある。他方、周期の短い方では数十ヘルツから100ヘルツを超えるほどの高い周波数の振動が出ることもある。
地震の振動はスピーカーの振動板のように地面を揺らすものだから、約20ヘルツを超えるものは空気中を伝わって耳に聞こえることも多い。腹に響く振動を人体で感じることもある。一度聞いたら忘れられないほど恐怖心をあおる音だ。