埼玉県警が未成年者誘拐容疑で指名手配し、28日に身柄を確保された東京都中野区の職業不詳、寺内樺風(かぶ)容疑者(23)=同容疑で逮捕状=は、千葉大学工学部に通いながら女子生徒(15)を監禁していたとみられる。大学に隣接するアパートで約2年もの間、誰にも悟られずに女子生徒の自由を奪い続けられたのはなぜか。大阪府池田市の実家周辺で「頭のええ子」と神童扱いだった同容疑者の猟奇的犯行に、関係者は言葉を失っている。
■監禁部屋
「秋葉原に携帯電話を買いに行く」
寺内容疑者は27日昼前、女子生徒にこう言って東京・東中野のマンションを外出した。この日は鍵が掛かっておらず、女子生徒は部屋から逃げ出し、JR東中野駅の公衆電話から110番した。
2014年3月に行方不明になってから2年、事件が大きく動いた瞬間だった。
女子生徒は27日に保護されたが、数週間前までは、寺内容疑者が東中野に転居してくる前の住居、千葉市稲毛区の3階建てアパートの最上階で監禁されていたとみられている。
アパートは千葉大学に隣接し、最寄り駅のJR西千葉駅から徒歩15分。不動産サイトによれば、賃料は月5万3000円で、間取りは洋間と和室の6畳間が1つずつある2K。面積はほぼ40平方メートル。オートロックはなく築年数は31年だが、1人暮らしの大学生にとっては恵まれた居住環境といえる。
同じ階に住む男性(69)は「1〜2週間前に出ていったばかりだよ。女の子がいたなんて全然気づかなかった。俺は雪駄を履いて外出するから部屋の前の廊下をペタペタ歩く音だって聞こえたはずなんだ。助けを求めようと思ったら、いくらでもできたと思うんだけどね」と首をかしげる。
寺内容疑者については「3回くらい見かけたことがあるけど、元気にあいさつするいい男だったよ。根暗な印象はまったくなかった。コンビニなんかのポリ袋を手に提げていて、いつも1人分の食べ物を持っていたように思う」と話す。