巨大地震でダムは凶器と化す 老朽化したダムの耐震性を再点検する必要 (1/2ページ)

2016.07.15

熊本地震によって崩落した黒川第1発電所=熊本県南阿蘇村
熊本地震によって崩落した黒川第1発電所=熊本県南阿蘇村【拡大】

 さる4月に起きた熊本地震で、山中にある水力発電所・黒川第1発電所(熊本県南阿蘇村)の貯水施設が壊れ、大量の水がふもとの集落に流出した。このため、集落では、少なくとも民家9戸が壊れ、2人が亡くなった。水は4月16日のマグニチュード(M)7・3の地震直後に流出し、推計で約1万トンにもなった。

 この問題で5月24日、発電所を運転する九州電力の熊本支社土木部門の技術部長ら幹部2人が、地元の新所(しんしょ)地区の区長の避難先を訪ねて謝罪した。同社が住民に謝罪するのは初めてだった。

 しかし九電は斜面が崩落して新所地区の2人が死亡したことと水の流出との因果関係は「調査中」としている。

 大量の水を湛えているダムが地震で崩壊したら、この熊本黒川第1発電所に限らず、大きな被害を引き起こすことがある。

 2011年の東日本大震災のときの福島県須賀川(すかがわ)市にある藤沼ダムの例がある。震災と原発事故の報道の陰に隠れてしまったが、地震直後にダムが決壊して大量の水が下流を襲った。

 濁流が家屋をのみ込んで7人が死亡、1歳の男児1人が行方不明になった。また家屋19棟が全壊・流失し、床上・床下浸水した家屋は55棟にのぼった。水だけではなく流木による破壊も激しかった。

 このダムは太平洋から内陸に約75キロ入ったところにある。ダムの高さは18メートル、幅は133メートルだったが、地震とともにダムが全幅にわたって決壊してしまったのだ。

 当時、ダムは田植えの時期をひかえてほとんど満水だった。このため約150万トンもの水が、多くの樹木を巻き込んだ鉄砲水となって下流の集落を襲った。ダムの下流約500メートルのところにある滝地区でも高さ2メートルを超える泥水の痕跡が残った。

 

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