子供の貧困問題が注目を集めている。NHKの番組で取り上げられた母子家庭の女子高生をめぐってインターネットなどでも騒動となる一方、日本は先進国の中でも高い水準だとの指摘もある。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の調査(2010年)では、子供がいる世帯の相対的貧困率について、日本は14・6%と、OECD34カ国平均の11・6%を上回り、34カ国中25位(下位ほど貧困率が高い)となっている。
相対的貧困率とは、所得の中央値の半分未満の人の割合を示したものだ。国内の所得格差に注目する指標であるため、絶対的に豊かな先進国でも、相対的貧困率は高い場合がある。
社会政策を評価する場合、「自立」と「公正」という2つの概念で見ることが多い。自立は就業率や失業率など、公正は相対的貧困率、所得格差を示すジニ係数、男女間賃金格差などで測ることができる。
日本の就業率はOECD34カ国中のトップクラスで、失業率も低く、ともに上位だ。一方、相対的貧困率では前記のように下位で、ジニ係数はOECD34カ国の平均とほぼ同じ水準である。また、男女間の賃金格差は加盟国中最下位クラスだ。
日本の社会政策は、自立面でOECD加盟国の平均より上、公正面で下という状況だ。これは、日本人の政府に対する意識の差を反映している。
厚生労働省委託調査「社会保障に関する国民意識調査」(12年)によれば、「政府は、貧しい人たちに対する援助を減らすべきだ」という見解に対する認識について、日本で2割弱が肯定的な意見となっており、先進国の中でも高い水準だ。一方、4割強が否定的であるが、これは先進国の中で低い水準になっている。格差是正に対する政府の責任についても、肯定的な意見は5割程度であり、先進国の中でも低い水準である。